西久保第一号古墳


見事な横穴式石室を今に伝える後期古墳



県立瀬戸高校のすぐ裏の山に築かれている横穴式石室を持つ後期古墳です。
一帯には同様の横穴式石室墳が10基ほどあったとされています。
現在は、破壊された石室の一部や窪みが残っている程度になっています。

明瞭に墳丘が残る

その中で、この古墳は築造当時の状況を良く伝えています。
墳丘は南北約17m、東西約19m、高さ約3.8mの円墳です。

墳丘北側は、自然の斜面を削って築造した様子が良くわかります。

墳丘南側中央に、南南東に向かって開口する横穴式石室が残されています。
石室の先端の羨道部は天井石が失われていますが長さ約3m、幅約1.5m、高さ約1.4m。
玄室は完存しており長さ約7m、幅約2.2m、高さ約1.9m。
玄室と羨道の境界は明瞭ではありませんが、天井石が一段低くなり、片方の壁が一段狭くなっています。
かつて玄室から土師質陶棺片が出土したそうです。
余談ですが、第2次大戦中には岡山の蓮昌寺にある大曼荼羅が戦禍を免れるためにこの石室内に疎開していたという戦争遺跡でもあります。

訪問の際には、瀬戸高校東側の壁づたいに墓地への道がありますので、まっすぐ墓地を横切っていきましょう。
途中イノシシよけの鉄線が張られていますので気をつけて。

墓地の中央北側に標識がありますが見えにくいので見逃さないよう、よく目を凝らしてくださいね。
あとは斜面を西に向かって横に進んでいけば辿りつけます。

○参考文献
『瀬戸町誌』