屁ひりじいさん

   むかし、あるところによいおじいさんと悪いおじいさんがいました。
ある日よいおじいさんが藪で竹を伐っておりましたら、そこにお殿様が家来をつれて
「下にぃ、下にぃ」と通りかかりました。
そしておじいさんに「そこにおるのは何者か」と申されました。
おじいさんは「日本一の屁ひりじじい」と答えました。
お殿様は「そんならひとつひってみよ」と申されました。
おじいさんは「竹の切り株があるからようひらん」と言いました。
お殿様は「毛氈(もうせん)を敷いてやるからひってみい」 と申されました。
そこでおじいさんが屁をひると
「ちちんぽんぽん青竹小竹 きみのおしゃくをたまにとれや ぽんぽろぽん」
とよい音がしました。
お殿様は大変感心して、たくさんお金を下さいましたので、おじいさんはお金持ちになりました。

 その話を聞いたとなりのおじいさんは「わしも行ってこう」 といって出かけました。
藪で竹をカッチカッチと伐っておりますと、またお殿様が通られまして
「そこに居るのは何者じゃ」と申されました。
おじいさんは「日本一の屁ひりじじい」と答えました。
お殿様は「それならひってみい」と申されましたので、おじいさんは
「竹の切り株があるからようひらん」といいました。
お殿様は、「毛氈(もうせん)を敷いてやるからひってみい」と申されました。
おじいさんは
「ちちんぽんぽん青竹小竹 きみのおしゃくをたまにとれや びちびち」
ともらしてしまったので毛氈が汚れてしまいました。
お殿様はたいそうお怒りになって、おじいさんのお尻を切ってしまいました。

 家に帰ると、おばあさんはおじいさんがたくさんお金をもらってくるから、もうボロはいらんと思って焼いていました。
そこへ「おばあさんボロつぎないか お金どころではないお尻を切られた」といって帰ってきました。
ほんとうに人の真似をするものではありませんね。